Yさん滞在記③
Yさんの三日目は、京都で6時に東京からの友達と宿泊のホテルで会って、夜「桜田」で食事の予定だったので、さようならをするまで時間も十分あるし案内がてら一緒に遊ぶことにした。
先日の三千院の茶蕎麦がイマイチだったので、美味しい蕎麦を食べたくなり、前から行きたいと思ってて実現していなかった信楽にある「作美」に行くことにした。
そこがだめならいつも行ってる黒田園もあるし両方にふられることはないだろうと出発した。
黒田園の前を通ったら、休みと分かり、これで作美が閉まってたらショックこの上ないと思いながら、作美作美と目指したら営業中。
ほっとしたし、嬉しかった。
車が2台止まっていて私の後ろから3台目が来たがお仲間としてテーブルを囲まれたので、直ぐに席がもらえた。
囲炉裏端で風情があってよかったが、にしん蕎麦を食べるには少々低かった。
「作美」はよくこんな辺鄙なところに店を出されたと思うようなところにあり、この日まで、やってる方は気難しくてよほどの変人じゃないか、それだと、よく本なんかに書いてあるようにまず塩でとか言われ蕎麦の香りなんか無視するような食べ方をすると怒られるんじゃないかとか、少しこわごわでもあった。
入ってみると、奥さんだと思うが、優しい口調の女性がにこにこと迎えてくださった。
少し安心。
メニューを見たら、「ざる」しかないと何となく思っていたがいろいろあって、入る前に思っていたことは思い過ごしだったと思った。
寒かったので、ざる蕎麦を食べたかったが、先にも書いたように「にしん蕎麦」を三人とも頼んだ。
奥さんとご主人に運ばれてきた「にしん蕎麦」にはしっかりと存在感を持った「棒にしん」が入っていた。
ご主人に、「何割蕎麦ですか?」と尋ねたら「十割です。それで蕎麦が短いですけど・・・」ということだった。
私は、蕎麦は好きだが、通ではない。
質問したのは、新聞でも紹介されていたし美味しいということだからできるだけ情報収集したいということだけだった。
にしん蕎麦に付いてきた蕎麦湯はどろっと濃厚でにしん蕎麦を食べる合間に味わうようになっていた。
奥さんもやさしい笑顔の方だったが、ご主人もとにかく自分の打つ蕎麦を美味しくいただいてもらえることが嬉しいというような優しい笑顔の方だった。
蕎麦は生粉(きこ)打ちという石臼で引いたそば粉だけの十割蕎麦でほんのりと緑がかったような色で太目。
それが、もっちりとした柔らかさの心地よい噛み応えを返してくる。
Yさんによると信州の十割蕎麦はもっと固いということだった。
大きいにしんは、上品なしっかりとした出汁の中で、つい美味しいといいたくなる味に仕上がっている。
この蕎麦は優しい上品なご夫婦の心の味だと思いながら食べていた。
ここに来たのは正解だったと三人で思った。
「作美」で満足した後、近くの無農薬のお茶を作る「かたぎ古香園」によってお茶を買い、それから大津方面へ向かった。
叶匠寿庵の「寿長生の郷」の梅林を楽しみに行ったが、まだ7,8分咲き。
寒いので早々に退散し、今度は梅林も楽しめる石山寺へ行ったが、ここの梅も同じようなものだった。
寒いのでざっと見るような感じでここも終わり、お茶でもしようということになった。
どこかいい場所はないかと思ったが、思いつかなかったし、Yさんが沢山お茶を買っていたので荷物を考えるとできたら京都のホテルまで送ってあげたいと妻も思ったようだし私も思っていた。
それで、比叡山のホテル・ド・ヒエイでお茶をして京都に落ちていくという感じで宿泊先のホテルに行くのがガイドとしてベストの選択となった。
話がはずんでゆっくりお茶をした後無事に送って帰ってきたが、Yさんがその晩行った「桜田」が気になる。
従姉妹のMちゃんは絶賛していた。
Yさんは何というだろう。
食べたこともないのに紹介し続けているのも早く終わりにしたい^^
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