虚言症

江龍武

2008年04月12日 21:32

虚言症:
過去の事実、自己の境遇などを空想的に潤色・変形し、自ら虚言と現実とを混同する病的な精神・心理状態。自己顕示的あるいはヒステリー的性格異常者に見られる。空想的虚言。(広辞苑より)

女性友達から午前中に電話があった。
結婚してからご主人との会話に積み上げというものがなかったらしい。
「こう言ったでしょう?」と訊くと「そんなことは言ってない」という答えが返ってくることが日常茶飯事のことだったらしい。
その時の状況によって同じことでも答えが変わるらしい。
その場その場では会話になるが、夫婦の会話というのはその場ぽっきりのものではない。ああでもないこうでもない、ああだこうだと言いながら永の年月にわたって会話を積み上げていくものだが、それができなかったということだ。
「そんなことは言ってない」と言われると普通の人なら自分が間違ってるのかとまず思う。
そして、相手が間違ってると言うことが分かり最初の頃は、それを指摘するが、だんだん回をかさねるにつれ指摘するのも面倒になり「こんな小さなことは・・・」とか思いながら理不尽だが黙ってやりすごすようになる。
そんなことを26年もやってるうちに、友達も何がなんだかわけが分からなくなったようでパニック障害というような状態になっていたらしい。
精神的ダメージは主婦湿疹という形で現れ、それで治療をさせてもらうことになったのだが初めて私が気を入れたときは頭に何も感じないのでその手応えに戸惑った。
その時は分からなかったが、1年半ほど前に違う人で同じ手応えを経験して、それが自律神経失調症の手応えに違いないと思ったのだが、そんな状態だった。
先日友達は「ご主人もしかすると虚言症じゃない?」と友人から指摘されたらしい。
それで、ご主人に当てはめてみると思い当たることばかりだったということだ。
虚言症は病気だから、忘れてしまうのに本人には計算も悪気もない。

虚言症の話を聞いて、比較対象に商売の上手い人はどうだろうと思い、友人のSを思い出した。
Sがかつて「嘘も言い続けるとホンマになる」と言ったことがある。
Sの場合は計算も悪気もあるので病気ではないが、何時もそんなことをしていると病気になるかもしれないと心配している。
また、多くの政治家なんかは、もしかするともう虚言症という病気になってるのかもしれないと思い、日本の将来に不安を覚えた。
しかし、本当のことばっかり言って生きていくのは難しい。
「嘘も方便」とお釈迦様も言っている。
この辺はバランス感覚がいるということだろう。

それにしてもご主人が虚言症と分かったのはよいとして、友達のこれまで26年悩んだり苦しんだりしたあげくに出た答えが、虚言症だとは・・・こんなことだったのかよ~と言いたくなるに違いない。
そして、「問題はそれが分かったからといって現実問題は何の解決にもなってない」と冷静にそれを指摘した友達が言ったそうだ。


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